2026.07.31
2026.07.31
垂直搬送機の構造とは|構成部品と搬送タイプと駆動方式をわかりやすく解説

垂直搬送機の構造は、荷を載せる搬器、上下に案内する昇降路とガイドレール、動力を生む駆動部、動きを管理する制御盤と安全装置という要素で成り立ちます。
ここに「どのタイプで荷を運ぶか」という搬送方式と「何で動かすか」という駆動方式が組み合わさり、機種ごとの構造が決まります。
とはいえ部品の名前が分かっても、それぞれがどう連動して荷を上げ下げしているのかまでは、カタログの写真だけでは掴みにくいものです。
この記事では、垂直搬送機を製作する立場から、図解・構成部品の役割・搬送タイプ3種・駆動方式5種・安全にかかわる構造を、比較表を交えて解説します。
垂直搬送機の構造の全体像
垂直搬送機は、荷を運ぶ機構・荷を上下させる機構・安全を保つ機構という3系統が、ひとつの装置として組み合わさって成り立ちます。
まずは全体像として、どの部品がどの系統を担うのか、そして設計上の位置づけを押さえていきましょう。
そもそも垂直搬送機がどのような設備で何のために使われるのかという定義そのものは、別記事で詳しく解説しています。
本記事はその前提を踏まえ、装置の中身に踏み込んでいきます。
関連記事:「垂直搬送機とは?特徴や導入メリット、建築確認不要の理由を解説」
搬器と昇降路と駆動部と制御盤と安全装置からなる基本構造
垂直搬送機の基本構造は、荷を載せる搬器(キャリッジ)、その通り道となる昇降路、力を生む駆動部、指令を出す制御盤、そして安全にかかわる装置という5つの要素で構成されます。
荷は搬器に載り、昇降路の中を駆動部の力で上下し、制御盤の指令に従って目的の階で止まります。
それぞれの要素はさらに細かな部品に分かれ、機種によって組み合わせが変わります。
個々の部品の役割は後半の章で一つずつ掘り下げるため、ここではまず「5つの要素が連携して1台になる」という全体の骨組みだけ押さえておけば十分です。
人が搬器や昇降路内に立ち入った状態で運転されない構造
垂直搬送機は、搬器や昇降路内に人が立ち入った状態では運転されないことを前提に設計されるのが基本です。
荷物の搬送を担う設備であり、人が搬器に乗って移動するエレベーターなどの昇降機とは設計思想が異なります。
エレベーターとの違いについては、次の記事で詳しく解説しています。
関連記事:「垂直搬送機とエレベーターの違いは?建築確認不要でコストと工期を削減」
作業者が荷を載せる場合も、荷積みの作業と搬器の昇降とを分け、扉やゲートが閉じた状態を扉インターロックなどで確認してから昇降に移る流れが基本です。
なお、作業者が搬器へ直接荷を載せる機種もあり、その場合の法令上の設備区分は構造・搬入出方法・操作方法を踏まえて個別に判断されます。
注記
本章は垂直搬送機の一般的な構造を説明するものであり、法令上の設備区分や適用可否を判断するものではありません。
実際の扱いは、構造・搬入出方法・操作方法・設置条件などを踏まえて個別に確認が必要です。
また、本記事でいう「昇降路」は構造説明上の呼称であり、建築法令上の昇降路の定義を示すものではありません。
生産ラインや搬送ラインに組み込まれる荷物専用の搬送設備
垂直搬送機は、生産ラインや物流の搬送ラインに組み込まれ、階をまたいで荷物を運ぶ荷物専用の搬送設備です。
前後のコンベヤや作業工程とつながり、フロア間の荷の受け渡しを自動化する中継点として働きます。
用途が似た設備に簡易リフトがありますが、両者を同じ設備として捉えると構造の理解を誤りやすくなります。
簡易リフトとの違いについては、次の記事で詳しく解説しています。
関連記事:「垂直搬送機と簡易リフトの違いは?建築確認不要のメリットと法的基準」
図解で見る垂直搬送機の構造
垂直搬送機の構造は、正面・横・上からの3方向で捉えると、部品の位置関係が立体的に理解できます。
搬器・昇降路・駆動部の配置を、正面から順に整理します。
正面から見た昇降路と搬器と駆動部の配置
正面から見ると、縦に伸びる昇降路の中を搬器が上下し、その両側をガイドレールが挟む配置が読み取れます。
駆動部は昇降路の上部・下部・側部など機種の構成に応じた位置に置かれ、チェーンやワイヤーを介して搬器とつながります。
この正面の視点は、搬器がどの範囲を昇降し、駆動部がどこから力を伝えているのかを把握するのに向いています。

横から見た搬入側と搬出側とコンベヤの配置
横から見ると、荷が入ってくる搬入側と、荷が出ていく搬出側の位置関係が分かります。
搬入側から搬器に荷が載り、昇降した先の搬出側で荷が降ろされる、という奥行き方向の流れです。
コンベヤ式では、搬器と前後のコンベヤがこの搬入・搬出の位置でつながります。

上から見た荷物の流れと設置スペース
上から見ると、荷が前後の搬送ラインからどう入り、昇降路を経てどこへ抜けていくかという平面上の流れと、昇降路や機構が占める設置スペースの広がりが把握できます。
平面での配置は、既存ラインへの組み込みや設置場所の検討に直結します。

垂直搬送機を構成する主な部品と役割
垂直搬送機は、搬器・コンベヤ・昇降路・ガイドレール・駆動部・制御盤・センサー・扉といった部品が、それぞれの役割を分担して1台を構成します。
荷が直接触れる部分から、動力を生む部分、動きを制御する部分へと順に見ていきましょう。
荷物を載せる搬器とトレー
搬器は、荷物を実際に載せて上下する部分で、キャリッジや荷台とも呼ばれます。
載せる荷の形状や重量に合わせて、平らなトレー状のもの、ローラーを備えたもの、枠付きのものなど形が変わり、後述する搬送タイプの違いに直結する構造上の要となる部品です。
搬入と搬出を自動化するコンベヤ
コンベヤは、荷を横方向に送り込み・送り出しし、搬入と搬出を自動化する部品です。
搬器や乗り継ぎ位置にローラーコンベヤやチェーンコンベヤ、ベルトコンベヤなどが組み込まれ、前後の搬送ラインと自動でつながる構成にすることで、人手を介さない荷の受け渡しがしやすくなります。
搬器の通り道となる昇降路とマストとフレーム
昇降路は、搬器が上下移動する縦方向の空間を指す呼称です。
その周囲には、ガイドレールや駆動部を支持するマストやフレームといった機械構造が組まれ、囲う構造にすることで昇降中の荷や機構部への接触を抑えます。
マストやフレームの剛性は搬器の安定した昇降を支える土台であり、建物の階層をまたぐため、開口部や区画との取り合いも構造検討の重要な要素になります。
搬器を安定して案内するガイドレール
ガイドレールは、搬器の横ぶれや姿勢の変化を抑え、決められた経路に沿って昇降するよう案内する部品です。
レールに沿ってローラーやガイドシューが走ることで搬器の動きを規制し、高さのある搬送でも荷の姿勢を保ちやすくします。
動力を生む駆動部のモーターと減速機
駆動部は、モーターと減速機を中心に、チェーンやワイヤーロープなどの伝達要素を組み合わせて、搬器を上下させる力を生み出します。
どの伝達要素を使うかによって駆動方式が分かれ、扱える荷重や搬送速度、揚程(持ち上げる高さ)の傾向が変わるため、駆動方式の章であらためて掘り下げます。
昇降と停止と安全を管理する制御盤
制御盤は、モーターの起動・停止、昇降位置の管理、各種センサーからの信号処理を担う頭脳部です。
前後のコンベヤとの連動や、階を指定する呼び出し操作も制御盤が信号をやり取りして実現します。
近年はシーケンサ(PLC)による制御が広く使われています。
位置検出と過積載検知を担うセンサーと安全装置
センサーと安全装置は、搬器の位置検出や過積載の検知、扉の開閉監視などを担い、条件が整わないと動作しないよう制御します。
採用される構成は機種によって異なるため、安全にかかわる構造は専用の章であらためて個別に見ていきます。
各階の扉やゲートと出入口と昇降路の囲い
各階の出入口には扉やゲートが設けられ、昇降路の周囲は囲いで仕切られます。
荷の出し入れをする開口部と昇降中の機構部とを分け、後述する扉インターロックなどと組み合わせて、開口部からの接触や転落のリスクを抑える構造の一部を担います。
搬送タイプ別の構造の違い
垂直搬送機は、荷の載せ方と運び方に着目すると構造の違いが見えてきます。
分類のしかたは一つに定まるものではありませんが、本記事では構造を理解するための観点として、トレー式・コンベヤ式・連続搬送式という3つの捉え方を取り上げます。
トレー式の構造と向く現場
トレー式は、トレー状の搬器に荷を載せて昇降させる構造です。
まとまった荷を確実に運びやすく、パレットやカゴ車など、単位で扱う荷の搬送で用いられます。
作業者が昇降路の外の荷受け位置で搬送トレーなどへ荷を載せ、退避したのちにトレーや搬入出装置が搬器へ移す運用が一般的です。
なお、当社のタントレーは、荷を搬送トレーで受け渡す方式の垂直搬送機です。
重量物や大量の荷物の搬送を想定した構造で、詳しい仕様は現地調査のうえでご案内します。
コンベヤ式の構造と向く現場
コンベヤ式は、搬器にコンベヤを組み込み、前後の搬送ラインと接続する構造です。
昇降位置で荷を自動的に送り込み・送り出しするため、人手を介さずに荷が流れ、生産ラインや物流倉庫の自動化と組み合わせやすいタイプです。
前後ラインとの取り合いをどう設計するかが、構造検討の要点になります。
連続搬送式の構造と向く現場
連続搬送式は、搬器が停止と復帰を繰り返さずに搬送を続けられる構造です。
代表的な機種では複数の荷受け部が循環しますが、ベルトで搬送物を挟んで連続的に運ぶ方式などもあり、荷受け機構は機種によって異なります。
停止時間を抑えやすいぶん搬送頻度を高めやすく、数多くの荷を運びたい用途で選ばれます。
扱う荷の重量は用途に応じて幅があり、一概に軽量物専用とは限りません。
搬送タイプ別の比較表
3タイプの構造上の違いを比較表に整理します。
注意したいのは、トレー式・コンベヤ式が「荷受け・移載の方法」による区分であるのに対し、連続搬送式は「動作形式(止まるか循環するか)」による区分だという点です。
分類の軸が異なるため、実際の機種では複数タイプの特徴が重なることもあります。
| 搬送タイプ | 分類の軸 | 構造の特徴 | 荷の受け渡し |
|---|---|---|---|
| トレー式 | 荷受け・移載の方法 | トレー状の搬器に荷を載せて昇降 | トレーへ載せ替えて受け渡し(往復・連続いずれにも組み込める) |
| コンベヤ式 | 荷受け・移載の方法 | 搬器にコンベヤを組み込み前後ラインと接続 | 自動で送り込み・送り出し |
| 連続搬送式 | 動作形式 | 複数の荷受け部が循環するなど連続的に搬送 | 連続的に搬送(荷受け部の構造は機種による) |
注記
適する荷の重量やサイズは機種の設計によって幅があり、タイプだけで一律に決まるものではありません。
垂直搬送機の駆動方式と昇降方式
垂直搬送機の駆動方式は、実務上チェーン式・ワイヤー式・ホイスト式・ベルト式・スクリュー式などと呼び分けられますが、これらは同じ一本の軸で並ぶ分類ではありません。
チェーン・ワイヤーロープ・ベルトは昇降力を伝える媒体、ホイストは巻上機、スクリューはねじによる送り機構を指し、それぞれ着目している点が異なります。
この軸の違いを念頭に、各方式の構造を見ていきましょう。
重量物や安定性に向くチェーン式
チェーン式は、チェーンを昇降媒体として搬器を吊り上げ・支持する方式です。
一般に耐久性が高く、安定した昇降に向くとされ、物流や生産現場で広く採用されています。
チェーンは使用にともなう摩耗で伸びが生じることもあるため、状態の点検が前提になります。
昇降ストロークや静音に向くワイヤー式
ワイヤー式は、ワイヤーロープを巻き上げて搬器を昇降させる方式です。
昇降ストローク(上下する距離)の取りやすさや静かさは、方式そのものよりも採用する製品・設計によって変わります。
ワイヤーロープには巻き上げ用と扉などの補助用があり、種類や役割が異なる点も押さえておきましょう。
吊り上げ機構を使うホイスト式
ホイスト式は、電動ホイスト(巻上機)を組み込み、その吊り上げ機構で搬器を昇降させる方式です。
ホイストは「巻上機構」という装置の区分であり、巻上機が実際に使う昇降媒体はチェーンやワイヤーです。
つまりチェーン式・ワイヤー式とは分類の軸が異なる区分で、扱える荷重や仕様は採用する巻上機・設計によって変わります。
ベルト式やスクリュー式などその他の方式
ベルト式は、ベルトを昇降媒体として搬器を昇降させる方式で、チェーン式・ワイヤー式と同じ「昇降媒体による区分」に位置づけられます。
いっぽうスクリュー式は、ねじ軸とナット機構で搬器を送るスクリュー駆動の例で、昇降媒体・巻上機とはまた別の軸にあたります(粉粒体を送る垂直スクリューコンベヤとは別の機構です)。
垂直搬送機での代表的な採用例は限られます。
荷重を支え伝えるスプロケットやシーブとブレーキ機構
駆動部では、チェーンにスプロケット(歯車)が噛み合い、ワイヤーにはシーブ(滑車)が用いられ、回転を昇降の動きへ変換します。
あわせてブレーキ機構が、停止状態を保ち、搬器の位置を維持する役割を担います。
作動の仕組みは機種によって設計が異なります。
駆動方式は荷重と階高と搬送頻度と停止精度で選ぶ
どの駆動方式が適するかは、運ぶ荷の荷重、建物の階高(昇降距離)、搬送の頻度、求める停止精度といった条件のバランスで決まります。
単独の指標で優劣が決まるわけではなく、現場の条件に照らして総合的に見当をつけます。
参考として、当社のタントレーは、積載荷重200kg〜1,000kg、持上げ高さ2,500mm〜12,000mm(2停止)、昇降速度・横行速度は各10m/分に対応し、納期はお問い合わせから稼働開始まで最短3ヶ月です。
駆動方式の比較表
主な方式を比較表に整理します。
前述のとおり同一の軸では並ばないため、「昇降媒体(何で吊るか)」「巻上機構(どの巻上機か)」「送り機構(どう送るか)」という分類の軸を列で明示しています。
| 方式 | 分類の軸 | 昇降・送りの仕組み | 構造上の特徴・留意点 |
|---|---|---|---|
| チェーン式 | 昇降媒体 | チェーンで搬器を吊り上げ・支持 | 耐久性は採用製品・設計による(摩耗による伸びの点検が前提) |
| ワイヤー式 | 昇降媒体 | ワイヤーロープを巻き上げて昇降 | ストロークや静かさは採用製品・設計による |
| ホイスト式 | 巻上機構 | 電動ホイスト(巻上機)で昇降(媒体はチェーン/ワイヤー) | 既製の巻上機を組み込む(仕様は巻上機・設計による) |
| ベルト式 | 昇降媒体 | ベルトを昇降媒体として搬器を昇降 | 静かさなどは採用製品・設計による |
| スクリュー式 | 送り機構 | ねじ軸とナット機構で搬器を送る(粉粒体用の垂直スクリューコンベヤとは別物) | 停止精度なども採用製品・設計による(採用例は限られる) |
注記
分類の軸が異なるため、上表は同一基準の優劣表ではありません。適する荷重や揚程は機種の設計で幅があります。
垂直搬送機の動作フロー
垂直搬送機の動作は、荷積み・昇降・荷降ろし・待機という流れで進み、搬送タイプによって荷の受け渡し方法が変わります。
タイプ別の動きから順に見ていきましょう。
トレー式の動作フロー
トレー式は、搬器(トレー)への荷積みから、昇降・荷降ろし・待機までの順で1サイクルが進みます。
- 荷積み:昇降路外の荷受け位置で搬送トレーなどへ荷を載せ、トレーや搬入出装置が搬器へ移す
- 昇降:扉や荷の状態が整うと、駆動部が搬器を目的階まで上下させる
- 荷降ろし:目的階で搬器が停止し、荷を降ろす
- 待機・復帰:その位置で次の指令を待つか、設定された待機位置へ移動する(機種・制御仕様による)
コンベヤ式の動作フロー
コンベヤ式は、前段のラインから搬器のコンベヤへ荷が自動で送り込まれる点が、トレー式との大きな違いです。
- 送り込み:前段ラインから搬器のコンベヤへ荷が自動で載る
- 昇降:荷の状態が整うと、駆動部が搬器を目的階まで上下させる
- 送り出し:目的階で搬器のコンベヤが動き、次のラインへ荷を送り出す
- 待機・復帰:その位置で次の指令を待つか、設定された待機位置へ移動する(機種・制御仕様による)
連続搬送式の動作フロー
連続搬送式では、循環する搬器に荷が順次載せられ、目的の位置で順次降ろされていきます。
1台ごとに止まるトレー式・コンベヤ式とは動作の考え方が異なり、停止時間を抑えやすいぶん、待ち時間を抑えたい用途でこの動きが活きてきます。
位置検出と停止制御と安全確認の流れ
各工程は、制御盤が所定の運転許可条件を確認したうえで進みます。
位置センサーによる停止位置の検出や、扉の状態・在荷などの確認を経て、条件が整って初めて昇降や停止に移る——この流れそのものが、安全にかかわる構造の一部です。
どの条件をどのセンサーで確認するかは機種によって異なります。
垂直搬送機の安全にかかわる構造と装置
垂直搬送機には、扉インターロックや過積載検知、非常停止、落下防止といった構造・装置が組み込まれ、正しい手順でのみ動かすことで事故リスクを抑えます。
採用される装置の内容は機種によって異なり、すべての機種で同一の構成が備わるわけではありません。
当社のタントレーでは、リミットスイッチやインターロックなどの各種安全装置を標準装備し、昇降路内への落下を防止する構造としています。
扉が開いた状態で動作しない扉インターロック
扉インターロックは、各階の扉やゲートが閉じていないと昇降できないようにする構造です。
扉が開いた状態のまま搬器が動かないよう、扉の状態と昇降の可否を連動させ、開口部からの転落や昇降中の機構部への接触といったリスクを抑えます。
積載荷重を超えた場合に運転を防ぐ過積載検知
過積載検知は、定められた積載荷重を超えた場合に運転へ移らないようにする仕組みです。
過大な荷を載せたまま昇降させる状態を防ぐことで、装置への負担や不安定な動作のリスクを抑えます。
異常時に運転を停止する非常停止装置
非常停止装置は、異常を感じた際に操作者が運転を止めるための装置です。
通常の停止シーケンスとは別に、押しボタンなどの操作で危険な動作を止め、状況を確認できる状態にします。
設置位置や操作方法は機種・現場によって異なります。
搬器の落下リスクを抑える落下防止とブレーキ機構
落下防止とブレーキ機構は、搬器の急な降下のリスクを抑え、停止位置を保つための構造です。
ブレーキが停止状態を保持し、あわせて落下を抑えるための仕組みが組み合わされます。作動の仕組みは機種ごとに設計が異なります。
昇降路への立ち入りを防ぐ安全柵とカバー
安全柵とカバーは、昇降路の周囲や機構部を囲い、稼働中の部分への立ち入りや接触を防ぐ構造です。
囲いだけで安全が完結するわけではなく、扉インターロックやセンサーなど複数の構造が重なって安全性を高めます。
注記
点検や異常処理などで囲いの内部へ立ち入る場合は、安全装置だけに頼らず、動力の遮断や再起動防止など、あらかじめ定められた作業手順に従う必要があります。
昇降路の防火区画や消防法に該当する場合の確認観点
設置する建物によっては、昇降路が防火区画を貫通する部分の処理や、消防用設備等との取り合いを確認すべき場合があります。
法令の該当・非該当は構造や設置条件によって個別に判断されるため、確認の窓口は分けて考えるのが安全です。
防火区画を貫通する部分の処理や確認申請の要否は建築基準法令・特定行政庁の扱いで、次の記事で整理しています。
消防法令にかかわる点は設置環境ごとに異なるため、所轄の消防署など専門の窓口へご確認ください。
関連記事:「垂直搬送機は確認申請が不要|法的根拠と他設備との比較を解説」
構造から考える垂直搬送機の選定ポイント
垂直搬送機を選ぶときは、搬送物・階高・搬送頻度・載せ込み方法・メンテナンス性という構造にかかわる条件を先に整理すると、適した搬送タイプと駆動方式を絞り込みやすくなります。
問い合わせ前に確認しておきたい観点を、順に見ていきましょう。
搬送物の重量とサイズに搬器が合っているか
まず確認したいのは、運ぶ荷の重量とサイズに搬器が合っているかです。
荷の形状、パレットやカゴ車の有無によって適した搬器の形やトレーの仕様が変わるため、搬送物の条件を先に固めておくと搬送タイプの見当もつきやすくなります。
階高と昇降距離に対応できる構造か
次に、建物の階高と昇降距離に構造が対応できるかを確認します。
上下する距離が長くなるほど昇降路や駆動部に求められる仕様も変わり、駆動方式の適性にもかかわる条件です。
搬送頻度に対して処理能力が足りるか
搬送頻度に対して処理能力が足りるかも、構造を選ぶうえで重要な観点です。
単位時間あたりに運ぶ荷の量が多いほど待ち時間の少ない構造が求められ、高い頻度で運び続けたい場合は、循環しながら搬送する連続搬送式が向くかどうかが検討点になります。
コンベヤ連動が必要か手動載せ込みでよいか
前後のラインとコンベヤで連動させる必要があるか、それとも手動での載せ込みで足りるかも、構造を分ける分岐点です。
流れ作業のなかで人手を介さず荷を通したい場合はコンベヤ式が向き、作業者が各階で荷を載せる運用ならトレー式などが選択肢になります。
メンテナンスしやすく既存リフトの改造に対応できる構造か
長く使う設備のため、メンテナンスのしやすさも確認しておきたい観点です。
点検の進め方については、次の記事で詳しく解説しています。
関連記事:「垂直搬送機の点検は不要?法定点検の義務と自主点検の進め方を解説」
また、当社では今お使いの簡易リフト(他社製を含む)を活かして垂直搬送機へ改造するご相談にも対応しています。
既存設備を有効活用できるかどうかは設備の状態や現場条件によって変わるため、可否は現地調査で確認したうえでご案内します。
構造を理解したうえで次に確認したいこと
垂直搬送機の構造がつかめたら、次は他設備との違い・価格・法令・メーカー選びといった、導入検討に直結するテーマへ進むと理解が深まります。
定義やメリットや他設備との違いを知りたい場合の関連記事
垂直搬送機の定義やメリット、エレベーター・簡易リフトとの違いは、本文中で案内した各記事で確認できます。
まだ取り上げていない小荷物専用昇降機との違いは、次の記事で解説しています。
- 小荷物専用昇降機との違い → 「小荷物専用昇降機と垂直搬送機の違いとは?法令・構造・コストを徹底比較」
価格相場や確認申請や法令を知りたい場合の関連記事
導入にかかる費用の相場は、次の記事で整理しています。
確認申請・建築基準法については、安全にかかわる構造の章で案内した記事をご覧ください。
- 価格相場 → 「垂直搬送機の価格相場はいくら?導入費用と建築確認不要のコストメリット」
メーカー選びを知りたい場合の関連記事
メーカーごとの対応範囲や選び方を比較したい場合は、次の記事が参考になります。
対応できる搬送タイプや駆動方式、改造への対応は、メーカーによって幅があります。
- メーカーの選び方 → 「垂直搬送機メーカーの選び方|現場条件から考える失敗しない選定ガイド」
現場条件で構造に迷ったときの相談と無料の現地調査と図面作成
自社の現場にどの構造が合うか迷う場合は、無理な導入を前提とせず、条件整理の段階からご相談いただけます。
現場に合わせて相談したい方へ
搬送物や設置スペースの条件をもとに、適した構造の見当をご案内します。
現地調査・図面のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。
まとめ
垂直搬送機の構造は、搬器・昇降路・ガイドレール・駆動部・制御盤・安全装置という部品が連携し、搬送タイプと駆動方式の組み合わせで機種ごとの特性が決まります。
本記事の要点を整理します。
- 構成部品
搬器・昇降路・駆動部・制御盤が役割を分担し、扉インターロックや過積載検知などの安全構造と組み合わさって1台になる - 搬送タイプ
トレー式・コンベヤ式・連続搬送式で荷の載せ方と運び方の構造が異なる(分類の軸が異なり重なることもある) - 駆動方式
チェーン・ワイヤー・ベルトは昇降媒体、ホイストは巻上機構、スクリューは送り機構という別々の軸の区分である
構造を理解しておくと、自社の搬送物や設置環境に合う機種を、根拠をもって絞り込みやすくなります。
定義・違い・価格・法令・メーカー選びといった次のテーマは、前章で案内した各記事から目的に合わせてお進みください。